腸活には大豆!?管理栄養士が伝える腸を健康に保つ大豆パワー
「腸活」という単語、聞いたことはありますか。
メディアや書籍でも頻繁に登場するほど今や腸活ブームが到来しています。
腸活とは腸に良いライフスタイルを送ること、腸の機能を取り戻す活動…など様々な定義があふれていますが、大切なのは腸内環境をよい状態に保つことです。
また、腸活の話を耳にする中で、大豆が良いという話は聞いたことはありませんか?
このコラムでは「腸内環境をよい状態にするためにはどうしたらよいの?」「腸活に効果的な食品ってあるの?」「大豆と腸活の関係は?」などの疑問に答えていきます。
腸の環境が良い状態ってどういうこと?
腸内には腸内細菌と呼ばれる細菌が数多く住んでおり、互いに密接な関係をもって複雑なバランスの中で生きています。腸内細菌には善玉菌・悪玉菌・そのどちらでもない中間菌の大きく分けて3つのグループの細菌があるのをご存知でしょうか。腸内細菌において、特に重要なのが善玉菌と悪玉菌の割合です。
善玉菌は腸の運動を活発にし、感染予防に適する環境を作り出す一方、悪玉菌は様々な生活習慣病や炎症性腸疾患に関連するとの報告もあります。腸内環境が良い状態とは、腸内細菌のうち善玉菌が悪玉菌よりも優勢になっている状態のことです。つまり、腸活は善玉菌が占める割合を増やす活動といえます[1]。
腸活をするべき3つの理由
腸内の善玉菌が優位になると、心身へ様々な良い影響があることがわかっています。
例えば、ビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸)の産生、正常な免疫機能の維持、血清コレステロールの低下などです。また、腸と脳は密接に影響し合うことが知られており(脳腸相関という)、腸の調子が悪いと脳にも影響が及び、抑うつや不安などの情動変化も引き起こす危険性があります[2]。
腸を健康に保つことは、心身どちらの健康にも大切です。
腸活で意識したい食事とは
腸活は、腸内の善玉菌を増やすことが鍵を握っているとお伝えしました。
そのためには、食事で善玉菌自体が含まれるものを意識して摂ること、善玉菌のエサとなるものを摂ることがカギになります。以下にそれぞれの食品の例を挙げてみますので参考にしてくださいね。
■乳酸菌を含む食品
ヨーグルト、乳酸菌飲料、キムチなどの発酵食品に多く含まれる乳酸菌は人体に有益な働きを持つ代表的な善玉菌です。乳酸菌を摂ることで、腸内で大腸菌など悪玉菌の繁殖を抑え、腸内細菌のバランスを良い状態に保つことが期待できます[3]。
■食物繊維
食物繊維は大腸まで届き腸内に住む善玉菌のエサとなり、増やす働きがあります。
豆類、野菜類、穀類、海藻類、きのこ類などの植物性食品に多く含まれている栄養素です。
また、整腸作用だけでなく血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下に貢献することが明らかになっており、様々な生活習慣病の予防のためにも役立ちます。食物繊維は日本人が不足しがちであることが報告されており、積極的に摂りたい栄養素の1つです[4]。
■オリゴ糖
食物繊維と同様に善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やしてくれるオリゴ糖は大豆、たまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどの食品に多く含まれています。
オリゴ糖は、特定保健用食品としてオリゴ糖入り飲料やシロップが販売されているので、そのような商品を活用するのも良いですね[5]。ただし、一度に摂りすぎてしまうとお腹の調子が悪くなることもありますので、食べる量は少しずつ様子をみながら増やしていくようにしましょう[1]。
大豆と腸活との関係って?
腸活に食事は大事とわかっていても、毎日・毎食腸活食材を摂るのは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。朝は忙しくて時間がない、夜は疲れて作る元気がない…、そんな時に大豆を上手く食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。朝ごはんを食べる習慣がないという方は、まず豆乳を飲むことから始めてみる、疲れた日の夕食は納豆ご飯にする、だけでも習慣化できると腸活成功への大きな一歩となります!
それでも、忙しい毎日の中でなかなか食事に気を遣うのは難しい…という方も多いかもしれません。
そのような場合は「私の完全美容食」で腸活に取り組んでみてはいかがでしょう。大豆を丸ごと使っているため、食物繊維やオリゴ糖を効率よく摂ることができます。腸活の効率を高めるためには、乳酸菌が含まれるヨーグルトにかけて食べるのもおすすめです。手軽に、美味しく食べられるので、無理なく続けられるのではないでしょうか。
もちろん、日々の規則正しい食事、生活を整えることが最重要ですが、忙しい時などに上手に活用してみてください。
健康の秘訣は腸から
いつまでも生き生きと活動するためには、腸の健康が大切。
健康に良いものをたくさん食べることも大事ですが、腸がうまく体に栄養素を吸収できなければ意味がありません。腸内環境が良ければ、必要な栄養素を効率良く吸収でき、心身ともに健康な体作りへの第一歩となります。
規則正しい生活習慣を守ったうえで「腸活」、つまり腸内環境を整える食事を意識して取り入れて、いつまでも元気な体を手に入れましょう!
【参考文献】
(すべて2024年2月16日閲覧)
[1]厚生労働省, e-ヘルスネット, 腸内細菌と健康
プロフィール
栄養の大切さを身をもって知った自身の経験から、栄養のプロを志し今に至る。若い世代の人に正しい栄養学の知識を伝えたいと非常勤講師を行う傍ら、自然や食材の豊かさに惚れ込んだ移住先の鹿児島県で、管理栄養士の力をもっと知ってもらい地域に活かしたいという想いが強くなる。現在地域の人々と管理栄養士をつなぐ場を創設し、管理栄養士の活躍の場を広げる活動に尽力している。
地域活動団体:栄縁