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スリムな人はみんな飲んでいる?!
プロテインの選び方と使い方を管理栄養士が徹底解説

プロテインを飲む女性

ここ数年、プロテインが大流行していることをご存知でしょうか。
プロテインと聞くと、アスリートや筋肉を鍛えている男性が飲むもの、粉っぽくてあまりおいしいものではないというイメージがある方も少なくないでしょう。

しかし、コロナ禍の影響による健康意識の高まりから、宅トレ(自宅トレーニング)をはじめる人が増えており、若い女性や高齢者にまでプロテインを飲む人が増え、人気が広がっています。最近は、スーパーやドラックストア、コンビニエンスストアなどさまざまな場所でプロテイン商品を目にするようになり、身近な存在となってきました。

このように徐々に日本でも浸透しつつありますが「プロテインってそもそも何?」「たくさん商品があってどのように選んだらいいのかわからない」「正しい使い方がわからない」のような疑問や不安があるという方もまだ少なくないのではないでしょうか。この記事では、プロテインについて管理栄養士が選び方や正しい使い方について、わかりやすく解説していきます。

そもそも”プロテイン”って何?

プロテインを飲む女性

プロテインは英語で”たんぱく質”のことを指し、日本ではたんぱく質を補うための栄養補助食品を指す言葉として使われています。プロテインは主成分であるたんぱく質やたんぱく質の代謝に必要なビタミンなどの栄養成分を粉末状にした商品が多く、最近ではバータイプやゼリータイプ、ドリンクタイプの商品も多く見かけるようになりました。

たんぱく質は、筋肉を作るために必要な栄養素ということはよく知られていますが、その他に臓器や皮膚、毛髪などといった体を構成するために必要な栄養素です。加えて、ホルモンや酵素、免疫物質といった体の調子を整える機能を正常に働かせるためにも重要な成分で、私たちが健康な体を作ったり、維持するためにはなくてはならない栄養素です。不足してしまうと成長障害や体力、免疫機能の低下などが起き、体に悪影響を及ぼします。[1]

では、1日にどのくらいのたんぱく質量が必要なのでしょうか。

1日にどれくらいのたんぱく質が必要なの?

厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、1日に必要なたんぱく質の量を確認してみましょう。

1日に摂取したいたんぱく質の推奨量は年齢や性別で異なり、18~64歳の男性で65g、65歳以上の男性は60g、18歳以上の女性は50gとされています。[2]

「国民健康・栄養調査(令和元年)」のデータによると、日本人は平均的にたんぱく質を推奨量より多くとっている傾向がみられます。[3]
しかし、こちらはあくまでも調査に参加した人の平均的な結果になりますので、もちろん食習慣が乱れていると不足してしまう恐れがあります。食事量を著しく減らす過度なダイエットや特定の食品を控えるような食事制限をしている方、加齢により食事量が低下してしまっている方は、特にたんぱく質が不足するリスクが高いので注意が必要です。

プロテインを選ぶ3つポイント

プロテイン

一言でプロテインといっても、種類や味、形状など、商品によって特徴が異なります。プロテインを日々の生活に取り入れたいけれど、どのようなプロテインが自分に合っているものなのか、ぜひこちらを参考にして選んでみてください。

■原材料が違う!プロテインの種類

プロテインには主に、牛乳を原料にした”ホエイプロテイン”と、大豆を原料にした”ソイプロテイン”があります。

ホエイプロテインはサラサラとした舌触りで、水にも溶けやすいためダマになりにくいのが特徴です。ソイプロテインは大豆に含まれている油分などを取り除き、残ったたんぱく質を粉末状にして作られているため、脂肪成分が少ないのも特徴のひとつです。ダイエットでカロリーを気にしている方や大豆には女性ホルモンに似た働きをもっていることで注目を浴びている”大豆イソフラボン”が含まれているため、ダイエットをしている女性向けのプロテインといえます。

■シンプルなプレーン味からフレーバータイプもさまざま

ホエイプロテインもソイプロテインも素材の風味を活かしたプレーン味以外に、チョコレート味やストロベリー味、黒糖味、ミルクティー味、コーヒー味などといったさまざまな味が販売されています。甘いフレーバーがついているプロテインは少しカロリーが高くなる傾向がありますが、自分好みの味を見つけるのもプロテインを継続して取り入れるために重要な選び方のひとつです。

■取り入れやすさ

日本で売られているプロテインは、主に粉末状のものからバータイプ、ゼリータイプ、ドリンクタイプで販売されていることが多く、それぞれのメリットとデメリットを知ることでシーンに合わせたプロテインを選ぶことができます。

粉末状のプロテインは、シェイカーにプロテインと水や牛乳などを入れて振るだけの工程で作れるので、忙しい朝などでも手軽に取り入れることができます。しかし、外出先では扱いにくいのがデメリットです。外出先では、バータイプやゼリータイプ、ドリンクタイプの製品を選ぶと良いでしょう。これらは粉末状のプロテインよりも1食当たりのコストはかかりますが、その分手軽さの面が大きな魅力と言えます。

忙しい人こそ、プロテインを上手に活用してみては?

たんぱく質をはじめ、1日に必要な栄養素は食事からとることが基本です。しかし、忙しくてなかなか食事の時間が取れないと、おにぎりやパンなど簡単に食べられるものだけの食事になってしまったり、コーヒーやエナジードリンクなどの飲み物だけで済ませてしまう方もいらっしゃるようです。食事からたんぱく質をとることが難しい場合は、プロテインを日々の食生活にプラスして取り入れるのもひとつの方法です。

プロテインを上手に活用して健康的な毎日を

1日に必要なたんぱく質が食事だけでは補えない場合にプロテインを取り入れることは、たんぱく質やビタミン類の不足を避けるためにも有効です。
とはいえ、食事の代わりにプロテインだけを飲むということはおすすめできません。毎日の食事で栄養をとることを基本とし、足りない分をプロテインで補い、栄養バランスを改善するためのひとつの方法として、上手に活用していきましょう。

【参考文献】 (すべて2022年10月10日閲覧)
[1]厚生労働省, e-ヘルスネット/たんぱく質

[2]厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版)

[3]厚生労働省.国民健康・栄養調査結果の概要(令和元年)

プロフィール

ishikawa

【プロフィール】歯科管理栄養士×健康・食品ライター 石川 桃子

歯科医院で専属管理栄養士として勤めており、歯の不調をはじめとするさまざまな症状に対し、一人ひとりのライフスタイルに合わせた食事・栄養指導を行っている。加えて、食べる入り口となる≪お口の健康=身体の健康≫を伝えたい、毎日の食事で健康になるための正しい知識を発信したいという想いから、健康・食品ライターとしても活動を続けている。
HP:https://momoko-dentalnutrition.com/
Twitter:https://twitter.com/mmk_rd