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丸大豆プロテインの驚くべき効果!脱脂大豆との違いとは?

丸大豆プロテイン

プロテインは、筋肉や骨、皮膚などの体の組織を作るタンパク質の補給源として、健康や美容に気を使う人に人気のサプリメントです。しかし、プロテインにはさまざまな種類があり、その中でも大豆由来のプロテインは植物性タンパク質の代表格として注目されています。

大豆プロテインには、動物性タンパク質にはないイソフラボンやサポニンなどの有用成分が含まれており、コレステロールや血圧の低下、更年期障害の緩和などの効果が期待できます。また、大豆プロテインは乳製品アレルギーの人にも安心して飲めるというメリットもあります[1]。

しかし、大豆プロテインにも種類があり、その中でも特におすすめなのが「丸大豆プロテイン」です。丸大豆プロテインとは、大豆をそのままプロテインに加工したもので、油分を抜いた大豆プロテインと比べて栄養価が高く、タンパク質の質も優れています。

この記事では、丸大豆プロテインがなぜ油分を抜いた大豆プロテインよりも優れているのか、以下の2つの観点から詳しく解説します。

・丸大豆に含まれる成分が失われにくい
・タンパク質スコアが高い

丸大豆プロテイン製造方法と栄養保存:脂溶性ビタミンの重要性とその保持

まず、丸大豆に含まれる成分が失われにくいという点について詳しく見ていきましょう。

大豆からタンパク質を作るとき、最初に行うのは、大豆の油を取り除くことです。この作業には、石油から作られたヘキサンという液体がよく使われます。ヘキサンは大豆の油を効率的に取り出すことができます。ただし、ヘキサンは大豆に含まれる脂溶性ビタミンも一緒に取り出してしまうので、その後ヘキサンを取り除くときに、これらのビタミンも一緒になくなってしまいます。

脂溶性ビタミンとは、体内で脂肪と一緒に吸収されるビタミンです。ビタミンA、D、E、Kなどがこれに当たります。これらのビタミンは、目の健康や骨の強さを保つなど、私たちの健康にとって大切な役割を果たしています。しかし、ヘキサンで油を取り出すときに、これらのビタミンも一緒になくなってしまい、結果としてプロテインの栄養価が下がってしまいます。

それに対して、丸ごとの大豆から直接プロテインを作る方法では、これらのビタミンが失われることが少なく、結果として栄養価の高いプロテインが作れます。

さらに、脂溶性ビタミンの1つであるビタミンEについて見ていきましょう。ビタミンEには、体の中で起こる「酸化」という反応をおさえる効果があります。この「酸化」は、細胞やDNAが壊れてしまう反応のことで、体を老化させる作用があります。ビタミンEは、この酸化を防ぐ働きがあります。研究によると、丸大豆にはたくさんのビタミンEが含まれており[2]、体を老化から守る力があることが分かっています。

以上より、丸大豆由来のプロテインは脱脂大豆由来と比較して、成分の喪失が少なく栄養価が高いことが分かります。

優れたタンパク質源:丸大豆タンパクの高いタンパク質スコアと製造工程の注意点

次に、タンパク質スコアが高いという点について詳しく見ていきましょう。

タンパク質を構成するアミノ酸には、体の中で作れる非必須アミノ酸と、食事から取らなければならない必須アミノ酸があります。必須アミノ酸が不足すると、筋肉の代謝や免疫機能の低下を招く恐れがあるのです。

タンパク質には体の成長や修復に必要不可欠なアミノ酸が含まれています。この必須アミノ酸の量と、実際に体の中で吸収される率から計算される数値が、タンパク質の質を表す指標です。この指標が高いほど、優れたタンパク質であるといえます。

オランダのベルグ博士の研究チームは、大豆をさまざまな方法で加工した場合、含まれるタンパク質がどう変化するか詳しく調べました。研究結果から、丸大豆タンパク質は、油分を抜いた大豆タンパク質よりも、タンパク質スコアが高いことがわかりました。必須アミノ酸がバランスよく含まれ、しかも体内での吸収効率が高かったのです[3]。

DIAAS(消化必須アミノ酸スコア)

(van der Berg et al., 2022, TABLE 3を参考に筆者作成)

 

ヘキサンで油分を抽出した大豆タンパク質には、もう一つ課題があります。それは、ヘキサンを完全に取り除くために行う、熱を加えて乾燥させる工程です。この工程で、タンパク質の質が下がってしまう可能性があるのです。タンパク質をつくるアミノ酸のうち、リシン、メチオニン、システインなどは、熱に弱く、性質が変化しやすい性質があります。実際、研究でも、大豆タンパク質を熱で乾燥させると、タンパク質の品質が低下することが分かっています[3]。

PDCAAS(タンパク質消化性補正アミノ酸スコア)

(van der Berg et al., 2022, FIGURE 3を参考に筆者作成)

 

「私の完全栄養食」は、丸大豆をそのまま使用したプロテインです。大豆の油分を抜かず、加熱も控えめにしており、大豆本来の栄養成分を余すことなく摂取できます。まるごと大豆の恵みを身体に取り入れたい方には、最適な食材といえるでしょう。ぜひお試しあれ。

[1]小野伴忠 下山田真 村本光二(編)(2012) 食物と健康の科学シリーズ 大豆の機能と科学 朝倉書店

[2]Kim, Il-Sup, Cheorl-Ho Kim, and Woong-Suk Yang. “Physiologically active molecules and functional properties of soybeans in human health—A current perspective.” International Journal of Molecular Sciences 22.8 (2021): 4054.

[3]van den Berg, Lisa A., et al. “Protein quality of soy and the effect of processing: A quantitative review.” Frontiers in Nutrition 9 (2022): 2148.

プロフィール

satoyouhei
医学博士
筑波大学にて国際政治学を学んだのち、飲食業勤務を経て、理学療法士として臨床・教育業務に携わる。人間と脳への興味が高じ、富山大学大学院でコミュニケーションに関わる脳活動の研究を行う。2012年より脳科学に関するリサーチ・コンサルティング業務を行うオフィスワンダリングマインド代表として活動。研究者からプライム上場企業を対象に学術支援業務を行う。研究知のシェアリングサービスA-Co-Laboにてパートナー研究者としても活動中。日本最大級のサイエンスブログ、Labo Brainsでは「シュガー先生の脳科学コラム」を執筆、脳科学に関する情報を広く提供している。