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【上白糖・三温糖・黒糖】砂糖の種類別の特徴と選び方を管理栄養士が徹底解説!

「砂糖っていろいろな種類があるけど、何を買ったらいいんだろう。」「どれが健康にいい砂糖なんだろう。」砂糖を買う際に、このような疑問を持ったことがある方も多いのではないでしょうか。現在、スーパーマーケットなどでも上白糖や三温糖、グラニュー糖などといった多くの種類の砂糖が売られています。多くの種類から自分に合ったものを選ぶのに悩む方も多くいらっしゃいます。この記事では、それぞれの違いや選び方について管理栄養士が詳しく解説していきます。ぜひ今後の砂糖選びの参考にして下さいね。

砂糖の種類は2つに大きく分類される

砂糖の種類は分蜜糖(ぶんみつとう)と含蜜糖(がんみつとう)の2つに分類されています。では、それぞれどのような違いや特徴があるのでしょうか。 

■分蜜糖とは

分蜜糖は、原料糖を精製する過程で不純物やミネラルを取り除き、甘味成分の“ショ糖”だけを結晶化させたものをいいます。一般的に色が白く、くせのない味わいが特徴で、上白糖(じょうはくとう)、三温糖(さんおんとう)、グラニュー糖などが分蜜糖に分類されます[1]。

■含蜜糖とは

含蜜糖は、原料糖を精製する過程でミネラルを分離せずに、そのまま煮詰めて結晶化させたものをいいます。そのため、色が茶色く特有の風味やコクがある味わいで、糖分のほかに、カリウムやカルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルが含まれているという点も含蜜糖の大きな特徴です。黒糖(黒砂糖)や和三盆糖などが含蜜糖に分類されます[1]。

三温糖は上白糖よりも体にいい?

三温糖は上白糖と同じ分蜜糖に分類されていますが、三温糖の色が黒糖や和三盆糖のように茶色く色付いているため、上白糖よりも体にいいというイメージがある方も多いようです。分蜜糖である三温糖が茶色く色付いている理由は、作る工程にあります。砂糖を作る工程の中で加熱を繰り返します。次第に糖が分解し茶色く色付きます。長時間煮詰めることで水分が少なくなるため、ほかの分蜜糖よりも1g当たりで比べると多くのミネラルを多く含んでいますが、その差はかなりわずかなものです。ミネラルを補給するのであれば、あえて三温糖にするのではなく、他の食品から摂取するほうが効率的と言えるでしょう[1]。

絶対に知っておきたい!砂糖の選び方

砂糖といってもそれぞれ特徴があり、砂糖を変えるだけでも料理の味が変わったり、栄養価が異なります。その特徴を知ることで、より料理の仕上がりがよくなったり、体にいい砂糖を選ぶことができます。
ここでは、砂糖それぞれの特徴を活かす選び方と、栄養素を見て選ぶ方法をご紹介しますので、ぜひ今後の参考にしてくださいね。

■特徴を活かす選び方

分蜜糖と含蜜糖ではどのような味の違いがあるのでしょうか。

<分蜜糖>

〇上白糖

しっとりとした質感をしており、口当たりはソフトで、どんな料理にも合うのが特徴です。実は上白糖は日本特有の砂糖で、国内の砂糖消費量の約半分を上白糖が占めています[1]。

〇グラニュー糖

上白糖に比べ、結晶がやや大きく、サラサラとした質感でクセのない味わいが特徴です。つまり、素材の味を邪魔しないのがグラニュー糖のいいところで、コーヒーや紅茶などの飲み物にステックシュガーとして使われたり、お菓子作りにもよく使われます [1]。

〇三温糖

上白糖やグラニュー糖の結晶を取り出した後の糖液を煮詰めてできるため、茶色に変化しているのが最大の特徴です。上白糖に比べ、特有の風味があり甘さも強いため、煮物や佃煮などでコクを出すときに使用するのが最適です[1]。

〇中ざら糖(ちゅうざらとう)

分蜜糖の中でも純度が高く、表面にはカラメルをかけて作られています。そのため独特な風味があり、醤油を使用する煮物やすき焼きなどと相性がいい砂糖です[1]。

〇白ざら糖(しろざらとう)

グラニュー糖よりも結晶が大きく、くせのない上品な味わいです。純度も高く、きらきらとした光沢もあり、上白糖に比べると高価なため、高級な菓子やゼリーに使用されています[1]。

〇角砂糖

グラニュー糖を固めたもので、ホットコーヒーなどに一緒に添えられていることも多いのが角砂糖です。1個の重量(グラム)が約3~4gと決まっているため、計量が楽になるというメリットもあります。そのため、飲み物以外にも料理やお菓子作りにも便利です[1]。

〇氷砂糖

ゆっくりと時間をかけて1つの大きな結晶として作られるのが氷砂糖です。溶けるのにも時間がかかるため、果実酒や果実シロップを作る際によく用いられます[1]。

〇液糖(えきとう)

砂糖を溶かして液状にしたものです。取り扱いもしやすく、大量に運送や保存したりすることも容易にできる点と、溶かす手間が省けるため、工場での大量生産に多く使用されている砂糖です。清涼飲料やソース、焼き肉のたれなどに使用されています [1]。

<含蜜糖>

〇黒糖(黒砂糖)

さとうきびの搾り汁をそのままに詰めたものが黒糖です。濃厚な甘さとさとうきびの苦みや渋み、塩味が感じられる特有な味が特徴です。そのままでも食べられますが、かりんとうや駄菓子、黒蜜作りなどに使用されており、コクのある風味に仕上がります[1]。

〇和三盆糖(わさんぼんとう)

日本の伝統的製法で作られる砂糖で、結晶が非常に小さく独特な風味をもちます。くちどけがやさしく柔らかい甘さなので、羊羹や落雁(らくがん)といった干菓子などの和菓子の原料として重宝されています[1]。

■多くの栄養を含む砂糖の選び方

分蜜糖と含蜜糖をそれぞれ栄養面で比較してみましょう。

※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂) 」より[2]
※Tr (微量、トレース):最小記載量の1/10以上含まれているが5/10未満であることをそれぞれ示す。
カリウムやカルシウム、マグネシウム、鉄などはミネラルという栄養素の一種です。ミネラルは、体内で合成できない栄養素のひとつで食物から摂取する必要があります 。代謝機能の維持や体組織の調整、強化などの働きを保っています[3]。
表を見比べると、やはり上白糖などの分蜜糖と黒砂糖など含蜜糖ではミネラルの含有量に大きな差があります。ミネラル補給のひとつの方法として、砂糖の選び方を変えるというのもおすすめです。
砂糖を買うとき以外にも、お菓子や飲み物、プロテインなどにもさまざまな砂糖が使用されています。原材料の欄を見ればどのような砂糖が使われているが確認もできますので、気になる方はチェックしてみてください。

砂糖を賢く選ぼう!

見た目が似ている砂糖でも、それぞれ味の違いや料理やお菓子作りの仕上がりも異なります。砂糖の選び方は、料理に合わせて砂糖を変えてみたり、栄養素の違いを知って、自分に合った方法で砂糖を選んでみてくださいね。

【参考文献】(すべて2023年6月13日閲覧)
[1]農林水産省,砂糖の種類

[2]文部科学省,日本食品標準成分表2020年版(八訂)

[3]厚生労働省,e-ヘルスネット,ミネラル

プロフィール

ishikawa

【プロフィール】歯科管理栄養士×健康・食品ライター 石川 桃子

歯科医院で専属管理栄養士として勤めており、歯の不調をはじめとするさまざまな症状に対し、一人ひとりのライフスタイルに合わせた食事・栄養指導を行っている。加えて、食べる入り口となる≪お口の健康=身体の健康≫を伝えたい、毎日の食事で健康になるための正しい知識を発信したいという想いから、健康・食品ライターとしても活動を続けている。
HP:https://momoko-dentalnutrition.com/
Twitter:https://twitter.com/mmk_rd